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鬼貫吟行

              鬼貫吟行    2006.6.18(日)

「吟行燦燦」第1回目は、上嶋鬼貫を訪ねて、兵庫県伊丹市へ飛びました(この吟行は俳誌「ににん」24号より誌上掲載されます)。
まずは柿衞文庫で、伊丹の俳人「上嶋鬼貫」に関するレクチャーを学芸員の岡田麗氏から受けました。
柿衞文庫は鬼貫研究でも知られる俳文学者、岡田利兵衞(雅号 柿衞)の蒐集品からなり、俳書を中心に書籍、約3500点、さらに軸物、短冊などの真蹟類約6000点を蔵しています。
またここでは、鬼貫の時代、宗旦がひらいた俳諧塾にちなみ、平成5年から也雲軒(塾頭 坪内稔典氏)の俳句塾が活動しています。

膝だいてゐる鬼貫の夕涼み    岩淵喜代子
                        
                        柿衞文庫
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旧岡田家住宅・酒造などを見学して、岡田麗氏のご案内で、伊丹の町へ。寛文以後、70軒以上の酒造家が軒を連ねていたという伊丹。富裕層はその経済力にものをいわせて、あらゆる学芸に親しんでいたといいます。俳諧もそのひとつ。寛文から元文にかけて、100名をこえる俳人が活躍していたというから、まさに俳諧の町だったわけです。鬼貫の家も油屋という酒造家でした。

酒蔵に芒種の月のあがりけり    西田もとつぐ

鬼貫もくぐりし酒蔵夏暖簾      武井伸子
            
                       旧岡田家酒造
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万治4年(1661)に生をうけ、元文3年(1738)に78歳で亡くなった鬼貫は、大阪鳳林寺に葬られていますが、ここ墨染寺にも長男永太郎との親子墓があります。

鬼貫の墓あり西日真正面    平林恵子

                      墨染寺 鬼貫親子墓
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猪名野神社にある鬼貫の句碑。剥落がはじまっているようで、少し土台が心元ない感じでした。足元の地面には春蝉の穴らしき穴がいくつか。敷地内には亀の池や珍しい土俵がありました。

              鬼貫句碑 鳥はまだ口もほどけず初桜
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整然とならんだ、神社の掃除道具。
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伊丹の町で、立ち止まっては岡田麗氏(右から2人目)のレクチャーにメモをとる「ににん」メンバー。
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最後の訪問は荒村寺。ここにも鬼貫の句碑がありました。
これは出迎えてくれた、犬。
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薄西日犬の留守番荒村寺    浅見優子
               
                  
               鬼貫句碑 古城や茨くろなるきりぎりす
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夏帽子鬼貫の句碑めぐりけり     上田禎子

昆陽池のほとりの宿り明け易し    伊丹竹野子

ここを出る頃には、路面に西日があたり、旅の空は暮れはじめていました。
明日は嵯峨野吟行。楽しみです。


                     
                     写真・文/武井伸子


「吟行燦燦」以前のににん吟行は、こちらのページに掲載しています。
            
by basyou-ninin | 2006-06-18 09:00 | 吟行
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