安芸宮島・尾道・鞆の浦 2011.5.21~23
21日 1日目 宮島 前日までの天気予報は雨だったが、この日は曇り。 西へ西へ、車窓に青田が続き、列車は東京を離れてゆく。 新幹線を広島で降り、在来線で宮島口へ。 フェリーで宮島に渡る。 旅館に落ち着いてから、まずは弥山へロープウェイで上る。 瀬戸内の島々が穏やかな海に点在している。 海風にきたえられているのか、島の揚羽蝶が目にもとまらぬ速さで飛んでいた。 夕方は遊船に乗る。 海から見る大鳥居が島を守っているようだった。 遊船の隅に神棚共に揺れ 岩淵喜代子 声かけるたび遠ざかる袋角 武井伸子 22日 2日目 尾道 朝は厳島神社へ。 朱塗りの回廊がどこから見ても鮮やかだ。 潮が満ちてきている。 潮が引いた砂地を平家蟹がいっせいに、影のように動く。 砂穴を出たり入ったり。 回廊から眺めていると、飽きない。 白鷺が、少しずつ満ちてくる潮の中に立ち尽くしていた。 思いがけず、「蘭陵王」の奉納舞を見ることができた。 笙、篳篥、笛、太鼓。ときどきうぐいすが合奏する。 向うに大鳥居が見える。 白鷺のやうに神官ひるがへり 上田禎子 夏うぐひす背筋通つてくるやうな 浜岡紀子 午後は尾道へ。 駅前の尾道ラーメンがおいしかった。 尾道は坂と石段の町。 まずはロープウェイで千光寺へ。 山は椎の花盛りだった。 下りはひたすら歩いてゆく。 千光寺山中腹の志賀直哉旧居に立ち寄る。 大正元年、東京を離れた直哉が、約1年間移り住んだ家。 棟割長屋の6畳、3畳、台所という質素な造り。 ここで『暗夜行路』の草稿が練られたという。 文学記念室にも立ち寄り、寺めぐりをするように石段を降りてゆく。 緑陰のただ中に、椅子とテーブルを置いた喫茶店を見つけて、ほっと一息つく。 敷地には白い鉄線や蔓薔薇が咲いていた。 石段のひとつに蝸牛を発見。 真昼間の殻の硬さよ蝸牛 長嶺千晶 二階井戸など、生活上の工夫の跡が今でも残っている坂道を下る。 途中、猫と出会う。 これはことに人懐っこい猫だった。 平地に戻ってきて、商店街の入口にある林芙美子像に出会う。 旅鞄と日傘を傍らに、坐りこんでいる芙美子だ。 林芙美子は家族で各地を転々としたのち、大正5年に尾道に移り住んだ。 学業を終え上京するまでを、この坂と石段の町で過ごしたのだ。 23日 3日目 鞆の浦 尾道から福山へ出る。 在来線は青葉のなかを抜けてゆく。 バスで鞆の浦へ。 鞆の浦は小さな漁港。常夜燈が見える。 往時を偲ぶ町並は小雨にしっとりと濡れていた。 保命酒の元醸造元・太田家へ立ち寄ったり、鯛料理をいただいたり。 坂本龍馬にゆかりの「いろは丸展示館」にも立ち寄り、 鞆の浦という情趣たっぷりの町を堪能した。 鞆の浦をあとにし、バスで福山へ戻る。 福山から新幹線は東へ、東へ。 2泊3日の安芸への旅が終わった。 文・写真/武井伸子
by basyou-ninin
| 2011-05-21 10:00
|
最新の記事
以前の記事
2016年 02月 2014年 08月 2014年 03月 2013年 07月 2013年 01月 2012年 11月 2012年 07月 2012年 06月 2011年 05月 2011年 01月 2010年 04月 2009年 10月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 04月 2009年 02月 2008年 09月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 02月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 05月 2007年 01月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 06月 2003年 03月 カテゴリ
フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||