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鹿島吟行

鹿島吟行       10月8日(日)―9日(月)

鹿島神宮駅に立待月の11時ごろに着く。快晴の秋の日であった。

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根本寺へ行く道すがらの蜂の巣にみんな興味深々。
    
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根本寺はこじんまりしたお寺であった。

月の出づ方角を見る根本寺     禎子
   
月はちょうど本堂の裏山から上る。

有名な芭蕉の句碑
月はやし梢は雨を待ながら     桃青
   
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根本寺を出て鹿島神宮へ向かう。

鹿島アントラーズの本拠地らしい風景。
     
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途中の昼食を摂ったお店

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神宮の参道にある蕎麦屋さんで、たっぷりと盛られた常陸蕎麦に、そして添えてある小さなフライパンほどの掻き揚げを食べる。このお店は山下清の鹿島神宮の絵がかけてある。

鹿島神宮は古代からの木々の森があり、いかにも神が住みたもうという宮だった。

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玉砂利に足沈むなり神の留守     幸行子    

娘さんと母親がながながと祈っていたのが印象的だった。

「鹿島」の由来の鹿の園があり、鳴き声は、想像していたよりきれいではないのでちょっと幻滅。でも、仔鹿はやはり可愛い。

鹿の鼻ぬれて鹿島の要石     喜代子


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境内の茶店で、黍団子を食べつつ霊泉で淹れたコーヒーを飲み民宿へ。

鹿島灘に面する民宿に着く。宿の真ん前に荒波がうねっている。

浜駆ける犬の足跡秋夕日      伸子    
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立待月は六時近くに鹿島灘の海面から昇りだした。

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月の出を待つ人の影動きだし     洋子

月光を水に貼りたる漁師町     喜代子

灘の月ぐぐと上りて大きけれ     うさぎ

月の波上りつめては崩れては     雅子

月を載せ瓦の威風保ちけり     舞

波間には銀の蛇ゐる立待月      伸子
   

夜更けの波頭が月光を反射して輝いていた。沖は霧か靄かが壁のように立っていた。

海鳴って十七夜の光ゲ揉みしだく     恵子

ひと眠りふた眠りては月仰ぐ     幸行子

こうして立待月の一夜が過ぎた。

9日(月)

明け方から沈む月を見るために起きだした。

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月が沈んだのは日の出よりずっと後であった。

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遅い朝食の後、宿の主人のワゴンで鹿島漁港へ行く。

車の中で、朝起きたハプニングの、

蛤と化して汀へ濡れ伏しぬ     うさぎ

というアンハッピーなことに関わらず、話に盛り上がり、

旅半ば笑ひを隠す秋日和     雅子

と。

秋天や風車の向きのそれぞれに      紀子

風車の立つコンビナートを抜けて漁港へ。

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そして低気圧で前々日に貨物船が座礁した神栖へ行くことになる。神栖公園には鹿島灘を見渡す展望塔があった。船は見えなかったが、360度の展望。

貨物船ゆるりと入る秋の昼     洋子

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公園は

海荒れてまてば椎の実吹き溜る     恵子

鹿島は

コンビナートも貝も真白き秋思かな     喜代子

そして、常陸野は

電線の空へ背高泡立草     雅子        

という鹿島吟行であった。

                       文・写真 上田禎子
by basyou-ninin | 2006-10-08 09:02 | 吟行
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