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愛宕権現七草火焚き神事

吟行燦燦  第二五回
愛宕神社 七草火焚き神事
平成二十五年一月七日

 一月七日は七草の日である。しかも今年は初句会が予定されているので、午前中を愛宕神社の吟行に充てることにした。愛宕神社は防火を司る火産霊命(ほむすびのみこと)を主祭神として、七福神の大黒天、弁財天、猿田彦が祀られ、ビル群に囲まれているが静けさを保っている。神谷町の駅を出て神社に向かっているとメールが入った。
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「今何処にいるの」
「そっちに向かって歩いている」
「大変よ。大勢の人が行列を作っている。急いで」

「出世の階段」として有名な八八段の男坂を登るつもりだったが、急遽エレベータで愛宕山に上がった。そこにはもう長蛇の列が出来ており境内を埋めていた。目の前には四隅に竹が立てられ、注連飾りが下がり、結界が作られてどんど焼きの準備がしてあった。
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雀らに七日の真顔ありにけり  岩淵喜代子

猫の頭撫でて七草日和かな   牧野 洋子

注連飾り出世階段見下ろして  中田芽茶


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十一時になると社殿の中で七草神事が始まったが人が多くてとても入りきれない。閉めた硝子戸の向こうから、俎板の上にのせた七草をすりこぎとしゃもじでストトントンと叩く音と、「鳥追い歌」がところどころ聞こえた。はっきりと聞えたのは最後の「唐土の鳥が日本の土地へ渡らぬ先に」の部分だけだった。続いてその年の吉凶を占う国見の舞いが披露されたのだが、ほとんど見られなかった。

七草火焚何か唄つているらしき  武井伸子

巫女舞のこゑの幼き松の内   河邉幸行子

初春や国見の舞ひの朱の衣    浜岡紀子


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 そのあと神主が刀を持って積まれたお札や達磨などをお祓いする。我々も頭を下げ祓って戴く。それと同時に七草粥のお振舞いも始まるのである。

左義長や火にも水にも神在す   芹沢 芹

燃え盛るどんどの中の達磨衆   高橋寛治

お火焚をぐるりと囲む手足かな  川村研治

繋ぐ手のなきに輪となり福達磨 浜田はるみ

日の本の瑞穂の国の薺粥     島 雅子

人日や池に向かひて粥すすり 尾崎じゅん木


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七草粥のパワーを戴いて身も心も温もり句会場へと急いだ。 
   
                              (写真・記事 浜岡紀子)
by basyou-ninin | 2013-01-10 11:04 | 吟行
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